
「最近、応募が少なくなった気がする」
「採用が難しいのは、福井だから仕方ない?」
採用活動をしていると、自社の応募数や採用数だけを見て、こう感じることがあるかもしれません。
そんなときに見ておきたいのが「採用市場」です。
2026年7月、福井県の有効求人倍率は就業地別で1.69倍。全国の1.18倍を大きく上回り、山梨県と並んで全国で最も高い水準となっています。
ただし、
「1.69倍だから採用が難しい」
だけで終わらせると、大事な変化を見落とします。
なぜなら、福井県では前年同月と比べて「求人は減少」「求職者は増加」という動きが起きているからです。
採用市場の数字は、採用できない理由を説明するために見るものではありません。
「今の市場なら、自社はどう動く?」
を考えるための材料です。
今回は最新データから、福井県の採用市場で何が起きているのか、そして採用担当者が数字をどう採用活動に活かせばいいのかを考えていきます。
目次
まず知っておきたい、福井県の現在地
2026年7月の福井県の雇用状況を見てみましょう。
| 指標 | 2026年7月 | 前年同月比など |
|---|---|---|
| 有効求人倍率(就業地別) | 1.69倍 | 前月比 −0.03ポイント |
| 有効求人数 | 18,740人 | −4.6% |
| 有効求職者数 | 11,422人 | +4.8% |
| 新規求人数 | 6,657人 | −8.4% |
| 新規求職者数 | 2,677人 | +7.9% |
有効求人倍率1.69倍という数字だけを見ると、依然として企業側の採用競争が厳しい市場に見えます。
実際、全国の有効求人倍率は1.18倍ですから、福井県は全国と比べても求人倍率が高い地域です。
しかし、前年同月の福井県の有効求人倍率は1.89倍でした。現在は1.69倍まで低下しています。
さらに内訳を見ると、
求人は減っている。
求職者は増えている。
という動きがあります。
ここが、今回もっとも注目したいところです。
「1.69倍」だけでは分からない。求人と求職を分けて見る

有効求人倍率は、求人と求職のバランスを見るための代表的な指標です。
ただ、採用担当者が実際の採用活動に使うなら、「何倍だったか」だけではなく、その数字がどう動いているのかを見る必要があります。
今回の福井県なら、
有効求人数 18,740人 前年同月比 −4.6%
有効求職者数 11,422人 前年同月比 +4.8%
です。
つまり現在は、
「求人が求職を上回る状況は続いているものの、前年と比べれば求人は減り、求職者は増えている」
と見ることができます。
ここから、
「人手不足が解消した」
とも、
「採用しやすくなった」
とも、すぐには判断できません。
採用市場を見るときに大切なのは、
「求人倍率は高い?低い?」
だけではなく、
「求人は増えた?減った?」
「求職者は増えた?減った?」
までセットで見ることです。
「有効」と「新規」は何が違う?
もう一つ、採用担当者に知っておいてほしいのが「有効」と「新規」の違いです。
「有効」は前月から繰り越されたものを含め、その月に有効な求人・求職の状況。
「新規」は、その月に新しく受け付けた求人・求職の状況です。
簡単に整理すると、
有効
→ 今の市場全体を見る
新規
→ 最近の動きを見る
と考えると分かりやすいでしょう。
2026年7月の福井県では、新規求人数が前年同月比8.4%減った一方、新規求職者数は7.9%増えています。
そのため、採用担当者が市場を見るなら、
「今どうなっている?」だけでなく、
「最近、どちらが動き始めている?」
にも目を向けてみましょう。
新規の数字に変化が出ていれば、これからの採用環境を考える一つの材料になります。
数字が動いたら、採用担当者はどう考える?
ここからが重要です。
市場データを確認した後、採用担当者は何をすればいいのでしょうか。
分かりやすく、
「求人」と「求職者」
の増減を4つのパターンに分けてみます。
| 市場の動き | 考えられる状況 | 採用担当者が見るところ |
|---|---|---|
| 求人↑・求職者↓ | 採用競争が強まりやすい | 選考スピードや採用対象 |
| 求人↑・求職者↑ | 市場全体の動きが活発 | 市場の伸びに対して自社応募も増えているか |
| 求人↓・求職者↑ | 採用環境に変化が出ている | 今まで採れなかった職種も含め採用機会を再検討 |
| 求人↓・求職者↓ | 市場全体の動きが鈍い | 求人を出して待つ以外の接点も検討 |
もちろん、これだけで採用方針を決めることはできません。
業種や職種、地域によって状況は異なるからです。
ただ、
「市場がこう動いているなら、自社はどこを見るべき?」
を考える入口にはなります。
求人↑・求職者↓なら「スピード」を見る
採用したい企業が増えているのに、仕事を探す人が減っている。
この場合は、採用競争が強まりやすくなります。
応募があってから、
何日後に連絡している?
面接まで何日かかっている?
採否を出すまで何日かかっている?
と、選考にかかる時間を見てみます。
採用競争が強いときは、候補者が自社の結果を待っている間に、ほかの企業の選考が進むことも考えられます。
市場が厳しいほど、「応募数」だけではなく「応募後の時間」も重要になります。
求人↑・求職者↑なら「市場と自社の差」を見る
仕事を探す人が増えていても、同時に求人も増えているなら、
「求職者が増えた=自社にも応募が増える」
とは限りません。
ここでは、
市場の求職者数は増えている
↓
自社の応募数はどうなった?
と比べます。
市場では求職者が増えているのに、自社への応募は増えていない。
そうであれば、市場全体の人手不足だけでは説明できなくなります。
この「市場と自社のズレ」が、次に見るべき場所を教えてくれます。
求人↓・求職者↑なら「採用機会」を考える
2026年7月の福井県は、前年同月との比較ではこの方向です。
こうした変化が見られるときは、
「去年採れなかったから、今年も採れない」
と考えず、採用のタイミングを改めて検討する余地があります。
例えば、
「今後欠員が出そうな職種はないか」
「以前募集して集まらなかった職種はないか」
「数か月後に採用予定だった職種を、今から動かした方がいいか」
と考えてみる。
求職者の動きが変わっているなら、自社が採用活動を始めるタイミングも同じである必要はありません。
「人が辞めてから募集する」だけではなく、市場を見て採用時期を考える。
これも採用市場データの使い方です。
求人↓・求職者↓なら「出会い方」を考える
求人も求職者も減っている場合、求人を掲載して待つだけでは、そもそも接点を作りにくい可能性があります。
その場合は、
求人媒体
ハローワーク
自社採用サイト
SNS
社員紹介
学校との接点
合同企業説明会
など、求職者と出会う入口を広げることも選択肢になります。
市場に動いている人が少ないときほど、
「どの求人媒体に出す?」
だけではなく、
「そもそも、どうやって候補者と出会う?」
まで視野を広げることが大切です。
全国平均より「自社が採用する地域・職種」を見る
採用市場を見るとき、もう一つ注意したいのが「平均」です。
福井県の有効求人倍率は1.69倍ですが、県内でも地域によって異なります。
2026年7月の有効求人倍率(原数値)は、
三国 2.11倍
大野 1.77倍
福井 1.54倍
敦賀 1.38倍
小浜 1.26倍
武生 1.24倍
と差があります。
さらに、職種によって求人と求職のバランスも異なります。
つまり、
「福井県は1.69倍だから」
だけでは、自社の採用市場を正確には捉えられません。
採用する勤務地はどこか。
募集する職種は何か。
可能なら、そこまで絞って数字を見る。
福井労働局では、県内ハローワーク別の雇用失業情勢に加え、「職種別求人・求職バランスシート」や「職種別求人求職賃金情報」も公表しています。
採用を本格的に始めるときは、県全体の求人倍率だけでなく、自社に近い市場まで一段掘り下げてみるといいでしょう。
最後は「市場」と「自社」の数字を並べて見る

そして、採用担当者に最もおすすめしたいのが、
市場データと自社データを一緒に見ることです。
例えば、
福井県の求職者数 増加
自社の応募数 減少
だったらどうでしょう。
「最近は仕事を探す人が少ないから」
だけでは、自社の応募減少を説明しにくくなります。
反対に、
市場の求職者数 減少
市場の求人数 増加
自社の応募数 減少
なら、市場全体の競争が強くなっている影響も考えられます。
見る数字は、それほど多くなくても構いません。
| 市場を見る | 自社を見る |
|---|---|
| 有効求人数 | 求人の閲覧数 |
| 有効求職者数 | 応募数 |
| 新規求人数 | 応募率 |
| 新規求職者数 | 面接数・採用数 |
重要なのは、
「応募が減った」
という結果だけを見るのではなく、
「市場も同じ方向に動いている?」
と比べることです。
市場と自社が同じ方向なら、市場環境の影響を受けている可能性があります。
違う方向なら、自社側に別の要因がないかを見るきっかけになります。
市場要因なのか。
自社要因なのか。
この切り分けができるだけでも、採用担当者が次に調べるべきことはかなり変わります。
採用市場を見たら、この3つだけ考える
毎月すべての統計を細かく分析する必要はありません。
採用活動を始めるときや、応募状況に変化があったときに、次の3つを確認してみてください。
① 求職者は増えた?減った?
まず、人の動きを見る。
② 求人は増えた?減った?
次に、企業側の動きを見る。
③ 自社の応募は、市場と同じ方向に動いている?
最後に、自社の採用データと比べる。
この順番です。
例えば、
求職者 ↑
求人 ↓
自社応募 ↓
なら、
「市場だけが原因ではなさそう」
と考えることができます。
一方、
求職者 ↓
求人 ↑
自社応募 ↓
なら、
「採用競争が強まっている影響もありそう」
と考えられます。
数字を見る目的は、答えを一つに決めることではありません。
「次にどこを調べるべきか」を見つけることです。
まとめ|採用市場は「見る」だけでなく「次の判断」に使う

2026年7月の福井県の有効求人倍率は1.69倍。
全国の1.18倍を上回る高い水準です。
しかし、今回もっと注目したいのは、
有効求人数 −4.6%
有効求職者数 +4.8%
新規求人数 −8.4%
新規求職者数 +7.9%
という、その中身です。
「求人倍率が高いから採用が難しい」
で終わらせるのではなく、
求人は増えた?減った?
求職者は増えた?減った?
自社の応募はどう動いた?
まで見る。
そして、
市場を知る
↓
自社と比べる
↓
違いを見つける
↓
次の採用行動を決める
ここまでつなげて初めて、採用市場の数字が自社の採用活動に役立ちます。
採用市場の数字は「採れない理由」ではなく、
「次にどう動くかを決める材料」
として使ってみてください。
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